2011年12月31日 (土)

百歳坊と興福廟の三葉栱

もうだいぶ経ってしまいましたが、今夏に共同研究で福建省の民居集落を調査に行った際に見かけた2つの建築をご紹介します。
以前にこのブログで紹介した長崎の崇福寺第一峰門と同様、「三葉栱」と呼ばれる珍しい軒先の組物を採用する建築です。
烏龍茶で有名な武夷山市に、清代以来の景観を残している城村という集落(福建省武夷山市興田鎮城村)があるのですが、この集落の入口に、興福廟と呼ばれる宮廟(ここでは道教と仏教が習合した宗教施設)と、百歳坊と呼ばれる門が存在します。

外観はこんな感じ↓(左:興福廟、右:百歳坊)

Koufukuji2 Hyakusai2

ちなみに百歳坊は、この村に百歳になる老人が住んでいたこと記念に建てられた門だとのこと。

ともに17世紀末頃の建築だそうですが、近づいてみるとこの通り↓(左:興福廟、右:百歳坊)

Koufukuji1 Hyakusai1

肘木の手先が正面だけでなく左右の斜め前方に突き出て、隣の肘木と巻斗を共有する「三葉栱」と呼ばれる複雑な形式の組物であることがわかります。
ちなみに、崇福寺第一峰門の軒はこんな感じ↓

Soufukuji

三葉栱は中国南部の建築様式だそうですが、どうも中国でも例が少ないようです。
城村の上記2例は同時期のものでまったく同様の技法で作られているようですが、
よーく見ると、崇福寺第一峰門とはいくつか違いが見られます。
1)崇福寺第一峰門では、軒の出は四手先だが、城村の2例は六手先となるのでさらに複雑。
2)左右から斜めに差し出された肘木により共有される巻斗が、城村の2例では肘木の向きに合わせて45度斜めに置かれる。
3)肘木の形状は、崇福寺第一峰門が細長いが、城村の2例は成(せい)に対し出が短い。

崇福寺第一峰門は、浙江省寧波で部材を切り組んで運び、元禄9年(1696)に建立したそうですから、城村の2例と同時代ではありますが、
寧波と城村は直線距離で500kmほど離れた地域。日本でいえば江戸-大坂間くらい離れていますから、地方差があって当然かと思われます。

しかしながら、日本ではわずかに崇福寺第一峰門のみにしか見られない三葉栱の同時代の実例が、黄檗の故郷の福建省に残っていることは、大変意義深いことに思われます。

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2011年12月24日 (土)

オーガニックスパークリングビルベリージュース

クリスマスにちなんで、もうひとつ。

昨年、東京の青山にオープンしたdaylesford organic(デイルズフォード・オーガニック)

で販売している、ビルベリーのスパークリングジュースです。

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以前からいくつかジュースをご紹介していますが、今回のは最高峰のおいしさ。有機栽培のビルベリーに、同じく有機栽培したリンゴをブレンドしたスパークリングジュースです。

オーガニック先進国のイギリスから来ただけに、品質的にも魅力的ですが、味はそれこそ感動モノ。とても言葉では言い表せないので、あえて説明しません。青山店に併設されているレストランで飲んで感動し、そのまま購入したのが最初でしたが、当初は確か750ml1本で1,890円だったはず。少々高めなので、クリスマスなどの何か特別なイベントのときだけ開栓していたのですが、最近同店の通販サイトをみると、なんと1本1,470円に!これも円高の影響でしょうか。購買意欲をソソられます・・・。

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LE COMPTOIR de BENOIT OSAKA

クリスマスにちなんで、私が誕生日や記念日関係のときに、しばしば利用するお店をご紹介します。

LE COMPTOIR de BENOIT OSAKA(http://www.comptoirbenoit-osaka.com/以下、略して「ブノワ」)は、東京・青山にあるフレンチの名店のカジュアル版といったところ。場所は、梅田のブリーゼブリーゼの33Fです。青山同様、巨匠アラン・デュカスがプロデュースする店だけあって、料理の質は頭一つ抜き出ていると断言できます。

とはいえ、店構えはあまり格式張っていません。店名のCOMPTOIRとはフランス語でカウンターのことで、その名の通り大きなカウンターをオープンキッチンの周囲に配した座席があるのが特徴です(店内の様子は、HPのトップでどうぞ)。

さて、前菜からメイン、デザート、さらには食事中に供されるパンに至るまで、何を食べてもおいしいのでオススメを選ぶのは難しいのですが、とくに感動したメニューといえば、まず思い出すのは牛フィレ肉のロッシーニ風でしょうか。牛フィレ肉のステーキにフォアグラのソテーを載せ、トリュフとワイン入のソースで仕上げた料理ですが、あまりにおいしかったものだから、メニューに出ていない時でも特注させてもらったりしています。

それから最近ランチで食べた豚肩ロースのロティ(ロースト)も最高!シャルキュティエールソース(豚肉屋風ソースの意:ソースに白ワイン、玉ねぎ、ピクルス、マスタードが入っているそうな)の酸味と辛みが、香ばしくロースとされた豚肉と絶妙に調和していて、ワインにもとても良く合います。

前菜もどれもオススメですが、最近特に感動したのは、ラパンのテリーヌ。テリーヌというと、肉本来の食感・歯ごたえが失われてしまったものばかりに遭遇するのであまり好きではなかったのですが、ここのテリーヌは全く違います。ラパンの肉の繊維を崩さずにしっかりと残していて、肉料理として主菜にできるのではないかと思うほど。

デザートも一級品ばかり。私も妻も、夏場のピーチメルバが大のお気に入りですが、男性にもお勧めしたいのは、ババ・ア・ラルマニャック。スポンジケーキをアルマニャック(ブランデー)漬けにしたものに生クリームが添えてある、大人向けデザートです。以前はアルマニャックではなくてラム酒漬けだったのですが、アルマニャックに替ってアルコールがかなり抑えられ、女性でも頼みやすくなった印象。

ともあれ、百聞は一見に如かず。興味のある方は、ぜひ。

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日御碕神社と桃山時代の建築彫刻 その2

前の記事で書いたように、桃山時代の建築彫刻というと、具象的でアニメチックなものが多いという特徴がありますが、もうひとつ重要な特徴としては、本来のフレームから外へははみ出さないという傾向も指摘できると思います。

たとえば、上社の蟇股をみてみると、

T11 T07

左は波間に現れた龍、右は狐ですが、どちらもおとなしく蟇股のフレーム内に収まっており、はみ出たりはしません。18世紀以降になると、次第に立体的でフレームに縛られない彫物が一般化し、フレームから外にはみ出したり、建築表面へ突き出てきたりしますが、ここでは桃山期らしく、きちっと枠を守る傾向が明らかです。なお、右は向拝の上部ですが、細くきれいな渦と原始的な若葉の虹梁絵様からも建築年代がよくわかります。

因みに、彫刻の進化の行きつく先はというと・・・

Photo

少々極端な例ですが、これは妻沼聖天の貴惣門(安政2年・1855、埼玉県)。頭貫や小壁部分を彫刻の龍が完全に覆い隠してしまって、もはや構造体の様子が外見には判然としない状態になっています。なんともおどろおどろしい雰囲気。バロックだなぁ。

ところで、上に紹介した以外にも、日御碕神社の境内には蟇股がたくさん。ほんの一部ですが、以下にご紹介↓

<上社の蟇股から>

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T05 T06

<楼門の蟇股から>

R05 R06

R07 R08

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<境内社の蟇股から>

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何が彫られているのか、じっくり観察してみてください。同社には、これ以外にも、さまざまな動植物の建築彫刻が見られます。

山陰の片田舎にありながら、これほど豪華な社殿群を有していることは驚きです。この神社がどれほどの勢力を有していたかが伝わってきます。ここの社家である小野家が、明治時代になると華族(男爵)に列せられたことも、そのことを裏付けているように感じます。

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日御碕神社と桃山時代の建築彫刻 その1

先日、十数年ぶりに出雲へ出かけ、日御碕神社まで脚を延ばしてきました。

古代から、日が昇る地の伊勢神宮が日本の昼を守るのに対し、夕日が沈む地にある日御碕神社は日本の夜を守るとされ、各時代の政府や領主の崇敬を集めています。

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主祭神は二柱で、下社(日沉宮:写真左)にアマテラスを、上社(神の宮:写真右)にスサノヲを祀っています。いずれの社殿も権現造。江戸時代初頭に荒廃していたのを、3代将軍家光の命で松江藩が再建したのが現在の建築群です。

実は日御碕神社は今回が初めてだったのですが、社殿群の装飾の豊かさにびっくり。地方とは思えない・・・とかいうと島根の方々に怒られそうですが、とにかく桃山時代の雰囲気をよく伝える彫刻がテンコ盛り。なかなか可愛らしいので、以下にいくつかご紹介します。

まず下社拝殿の向拝の木鼻(獅子)がこれ↓

S04 S03

なんというか、究極のアニメ顔。一般に、桃山時代(文化史上は明暦の大火くらいまでですから、大体17世紀前半まで)の建築彫刻は、愛嬌のあるアニメチックな表情をしているものが多く、時代が下り江戸後期になると恐ろしげな、おどろおどろしい表現に変わっていく傾向がありますが、桃山期でもこれほどのアニメ顔は、なかなかお目にかかれないように思います。トトロのネコバスを思い出すのは、私だけではないはず。

ちなみに上社の向拝木鼻はこんな感じ↓

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当時の人が想像した「象」。こちらもかなり具象的でアニメチック。目つきがちょっと怖い気もしますが。

(その2に続く)

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